剣道日本 2005年10月
第2回国際剣道演武大会
2005年 7月1日(金)~3日(日), エディンバラ大学スポーツセンター
試合でなく演武形式で互いの向上を目指すイベント
昨年、我々にすばらしい感動をもたらしてくれたIKET (International Kendo Enbu Taikai=国際剣道演武大会)が、今年もスコットランドのエディンバラ大学スポーツセンターにて開催されました。英国剣道協会主催のもと、エディンバラ剣道会を中心に行なわれたこのイベントは、今年「EU-JAPAN personal to peson Exchange 2005」の一環としてエディンバラの日本領事館とロンドンの日本大使館の後援を得ることができました。両館へはここで改めて御礼申し上げます。
京都大会形式の剣道演武大会を開催したいというのは、英国剣道協会の長年に思いでしたが、当初のアイデアから剣道の演武だけでなく、剣道セミナー、弓道から茶道、生け花から居合道などさまざまな武道、芸道の祭典とし、そして今年は新たに日本の民謡や舞踊も加わりました。
英国剣道協会のチェアマンであるジェフ・サルトル氏と協会剣道部長であるポール・バデン氏が、これまで培ってきた日本の先生方との交友関係により、我々はご招待した先生方から質の高いご指導とサポートを頂くことができました。今回日本から来ていただいた先生方は、角正武先生(範士八段)、千葉仁先生(藩士八段)、上垣功先生(教士八段)、田代潤一先生(教士八段)、林光蔵先生(教士七段)です。
演武大会中は忙しく、のんびりしていただく時間もないため、今回は先生方に6月28日(火)に来ていただきました。そして翌日、長さ40キロにもわたる、山間の淡水湖としては国内最大の広さを誇るローモンド湖へドライブ。昼食には、新鮮な牡蛎を白ワインで堪能していただきました。この日の終わりには、エディンバラ剣道会のメンバー相手に稽古をつけていただきました。
木曜日には先生方をエディンバラ城へ観光にご案内し、有名なワンロックガンを目の前で見物していただきました。これは昔、海に出ている船長たちに航海において時計を正確に設定するために行なわれていたことに由来するものです。この伝統は大きな大砲の空砲として今日まで続いており、何人かの先生方はその音を聞いて非常にびっくりされたようでした。大砲の音は7キロ先のリース港まで届くよう設定されています。
次の日からIKETのため、この日の晩より英国内やヨーロッパ、その他の国々より多くの剣道家がエディンバラに入りました。最も遠いところからの参加者は北京からでした。また昨年IKETの成功の大原動力となった元エディンバラ剣道会の田中悟氏も、演武者と裏方の二役のために名古屋から駆けつけてくれました。
この日の晩の稽古会は、50人もの参加者とともに、面打ちと切り返しの稽古から始まり、引き続き地稽古が行なわれ、先生方よりすばらしい稽古とその後のご指導を頂きました。第2道場での交流は稽古と同じくらい大切なものです。稽古後は近くのパブに繰り出し、先生方も皆との会話を楽しんでおられました。
金曜日はいよいよ第2回IKETの開幕です。80人を超える参加者を「級者と初心者」 「初段~二段」 「三段以上」の3グループに分け、先生方によりさまざまな稽古をご指導いただきました。まず級者と初心者のグループは木刀による剣道基本技稽古法に始まり、掛かり手と元立ちをそれぞれ25回行いました。
・ 角先生からの主な指・ 導ポイントは、
1. 最後の瞬間まで中心を外さない。
2. つねに姿勢を正しく保持する
3. 打撃に冴えを持たせる。
4. 身体のバランスを両足に均等にかけ効率よく動く。 といったものでした。
この後、木刀による素振りを100本、そして面、小手、胴を遠間から正しい姿勢を維持して正確に打撃する稽古を行ないました。段保持者のグループはどちらのグループも日本剣道形の稽古に始まり、切り返し、打ち込み稽古、いくつかの技稽古を行いました。
しばしの休憩の後、角先生のご説明により、地稽古において先生方に稽古をお願いするときのあり方をご教授いただき、上垣先生(元立ち)と英国ナショナルチームコーチの本多先生(掛かり手)による「掛かりの稽古」の実演が行なわれました。その後の稽古は、元に立つ先生に対し「切り返し→掛かりの稽古→一本勝負→切り返し」という流れで行なわれました。
先生方に並ぶ列はどこも非常に長かったものの、そのぶん見取り稽古を行なうことができ、先生方がそれぞれの参加者のレベルに合わせて参加者の精一杯のやる気と打突を引き出していることを拝見できたのは、今後の稽古のあり方を見つめなおす大変良い機会となりました。我々にとって藩士は「Perfect picture」を意味しますが、この日の角先生と千葉先生はまさのその通りでした。
土曜日の演武大会はエディンバラシティー・パイプバンドの演奏より始まりました。英国剣道協会会長のジョン・ハウエル氏、エディンバラ大学スポーツセンター所長のジム・アイトケン氏によるスピーチの後、ケリー・ブレットセル嬢によるスコットランドの民族舞踊(剣の舞)とエディンバラのコミュニティースクールによる太鼓のパフォーマンスが行なわれました。これらのパフォーマンスにより武道精神のより結びついた文化交流としての演武大会が盛大に幕を開けました。
演武はまず角先生、千葉先生による日本剣道型が、続いて合気道、柔道、空手道、枕道、居合道、弓道、剣道の演武が行なわれました。なお武道以外にも日本の民謡や踊りが披露され、別会場では茶道や盆栽のワークショップが行なわれました。
最終日の日曜日のセミナーでは「17歳以下」 「級者」 「初段~二段」 「三段以上」の4グループに分かれて行なわれました。三段以上のグループは千葉先生より、手の内を利かせた様々な応じ技のご指導をいただき、基本打突、相手の打突を正しく認めることを心がけた地稽古を行いました。ここで学んだことを今後の稽古に生かしていくことで、より実りある稽古ができると確信することができました。
角先生は、一番年齢が低く経験の少ないグループを担当。彼らにとっては忘れることのできない2時間になったと思います。
セミナー後の参加者の感想です。
「・ 千葉先生がすべての技において、いかに手の内の技術が重要であるかを模範として示してくださった」・
「・ 上垣先生のもと、多くの素振りを行なった。稽古を通して、我々を上向きに、しかもより深いところへ引っぱっていこうとするのが伝わってきた。稽古の深さというものが、この週末を通して学んだ一番のレッスンだった」・
「・ 田代先生のご指・ 導は非常に厳しかった。先生との稽古はとても刺激的で、自分の剣道の向上におおいに役立った」・
セミナーの終わりにあたり「一眼二足三胆四力」について角先生から説明があり、今後の取り組みの重要な課題となりました。
最後にあたり、すべての先生方、そしてIKETを運営する機会を与えてくださった英国剣道協会に感謝を申し上げるとともに、来年のIKETを楽しみにしています。もし興味がおありでしたら、以下のメールアドレスにご連絡下さる我々のウェブサイトをご覧ください。
英国剣道協会 : www.kendo.org.uk
エディンバラ剣道会 : www.edinburghkendo.co.uk
スティーブ・ビショップ : steve@edinburghkendo.co.uk(英語)
山崎一男 : yamazaki@edinburghkendo.co.uk(英語・日本語)
ジョージ・マッコル : george@edinburghkendo.co.uk(英語・日本語)
(文) スティーブ ビショップ(エディンバラ剣道会)

